雪にまつわる小説と映画
雪原状態の畑が広がってるとこの道を走ってきたけど、月光で真っ白な雪のとこだけ明るくて、
「青白い大きな十五夜のお月様がしずかに氷の上山から登りました。
雪はチカチカ青く光り、そして今日も寒水石のように堅く凍りました。」
っていう、雪渡りの一節、思い出した。
— luvlife (@luvluv_tw) 2014, 2月 17
すっごい大雪が二週連続で降って、私が住んでるとこも、私が経験したことないぐらいのすごい積雪になった。
仕事行くの、めんどくさいよねー、っていうため息の雪。
幻想的な光景になる、うつくしい雪。
どこまでも降り積もってなにもかも埋めていく、こわい雪。
降りつづく雪に、「こわい」って思ったの、はじめて。
雪はいろんなイメージ湧く。
雪が溶けきらない夜道を車で走った時、宮沢賢治の「雪渡り」の一節が浮かんだ。
「雪」っていうイメージで思い浮かぶの、ほかにもいろいろ。
- 作者: 横溝正史
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これは、雪が密室を作ったトリック殺人事件。
旧家で長男の婚礼があって、その新婚初夜、離れでその新郎新婦が惨殺されてたの。
まわりは深い雪で、だれの足跡もなくて。
雪になんの痕跡も残さないで、どーやって犯人は殺して逃げたのか、って。
そーいうミステリーっぽいトリックのおもしろさもあるけど、私は、この犯人に、「バカじゃないの?」って言いたくなる、すごいやるせない気持ちになった。
「なんで殺すの?」
って。
静かに降る雪。
音を吸い込む深い雪におおわれた離れで、本当なら幸せな一夜があるはずだったのに、殺された人だって「なんで?」っていう、とっても理不尽な悲劇。
雪が建物のまわりを埋めつくす光景みると、この小説を思い出しちゃう。
- 作者: アガサクリスティー,Agatha Christie,山本やよい
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有名すぎるミステリーだけど、まだ読んでない人のためにネタバレしないで書くね。
イスタンブールからフランスに行くオリエント急行に、名探偵のポアロも乗ることになって、その列車には老若男女の紳士淑女の乗客がいて。
走ってる途中で豪雪地帯にさしかかって、雪に埋もれて列車が停まっちゃう。
「密室」となった列車で起こった殺人事件。
ひとりの男が殺され、ポアロは乗客や乗務員ぜんいんに取調べをして、推理をすすめていく。
殺された男の身元が判明して、殺された理由がわかって、だから犯人もわかって。
「雪」で狂ってしまった、犯人の逃亡劇。
逃げれない列車から、犯人はどーやって逃亡したのか。
ポアロは2つの推理をするの。
ひとつはほんとに真実をついた、揺らぎない正義の推理。
もーひとつは、悲劇をこれ以上連鎖させない慈悲の推理。
「雪」に閉ざされた殺人現場の犯人と名探偵。
この結末は、人によって、納得いく人、そーじゃない人、いろいろかなー、って思う。
雪に閉ざされて、退路を断たれた窮地の中で生みだされた人間ドラマ、だよね。
- 作者: ローラ・インガルス・ワイルダー,ガース・ウィリアムズ,谷口由美子
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ローラ・インガルスが書いたインガルス一家の物語シリーズの途中のひとつ。
アメリカ西部開拓時代に、キリスト教を信仰した善人で知的なインガルス一家の日常、が書かれてる物語で、作者のローラの体験を元にしたもの。
ローラが小さい時からシリーズははじまるんだけど、この「長い冬」では、ローラは日本の中学生ぐらいの年になってて、聡明なお姉さんは(ローラは次女)猩紅熱で失明しちゃったあと。
いろんな土地を転々として暮らしていたインガルス一家が、ある土地で農地開拓してる時、動物の冬ごもりの支度の様子から「この冬は厳しいのでは」って察知する。
原住民のインディアンによると、7年ごとに厳しい冬が来て、その3回目(21年目)がいちばんひどい、という話で、その年は21年目にあたってた。
そして、ほんとに厳しい冬がやってきて、これは7か月以上続くっていうの。
ものすごい豪雪に見舞われて、町は雪が溶ける数か月先まで何の物資もこない孤立状態に陥って。
貧乏なインガルス一家は、たちまち食料の備えがつきて、一家で餓死寸前になるのね。
そーいう過酷な冬を孤立した小さい町の人たちと乗り切っていく、すさまじい話。
町の道路を渡るだけで、視界ゼロの吹雪のせいで渡りきれず、狭い町から出て果てしない草原で遭難してしまうっていう危険性。
とにかく、吹雪と飢え。
この前、豪雪地帯でもないからそれなりの備えもなかった地域にすっごい大雪がふって、そこが孤立して食料も足りない、って事態になって。
そんな状態をみて、この小説を思い出す。
列車が通れる春がやっと来て。
遅れたクリスマスの贈り物の樽が届いて。
ローラが生き延びれた支えとなった町の男が、その後、ローラの夫になって。
豪雪に見舞われた「町の孤立」のこわさを教えてくれる物語。
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原作も「雪」の情景がすごいんだけど、この映画は、ほんとに山の雪景色がすっごいきれいな映像。
冬は道が使えなくなるから閉鎖する山の上のホテルで、主人公一家は冬季の留守番役の管理人になって、春まで高級ホテルに暮らすの。
その一家がホテルに着いた晩秋はまだ雪がないけど、一家以外の人すべて下山してから雪が降りだして、すぐにホテルは豪雪につつまれて。
食料は春まで豪華な食べ物がどっさりあって、暖房もあって、「家族以外の人はだれもいない」っていうだけで、ホテルの中では充分すぎる暮らしが送れる。
これ、羨ましい仕事だよねー。
私もやりたい。
毎日、好きなもの食べて、静かに暮らして。
でも、そんな甘い話ではなくて、実はこのホテルにはおそろしい霊が出て。
っていうホラー。
とにかく雪。
だれも助けにこれない雪。
電話も無線も使えなくなるほどの雪。
その雪に埋もれた孤立したホテルで、管理人一家にすっごい怖いことが押し寄せる。
逃げ場のない雪山。
でも、逃げるのね。
ホテルの建物から出て、雪が降り積もった庭に設営されてる巨大迷路に逃げ込んで。
雪の上に足跡つけながら逃げたら、それを追われて。
雪、雪、雪。
雪が牢屋をつくってる。
そこから逃げようとする話。
この映画も、雪が印象的。
雪がすっごい降り積もったホワイトクリスマス。
主人公のヘンな発明家のお父さんが、息子にクリスマスプレゼントに、中国人からヘンな生き物を買ってくるの。
飼い方の決まりがいろいろ厳しくて、ひとつでも守らないと、可愛い生き物がとんでもない怪物になっちゃう。
雪だらけの道をフツーに走る車。
生木のクリスマスツリー。
ママが焼くジンジャークッキー。
暖炉の煙突に嵌って死んだサンタクロース役のパパ。
雪の夜のすっごいドタバタな話。
ホワイトクリスマスの映画、なら、これもー。
お金持ちの一家がクリスマスは海外ですごす予定が、豪邸に8歳の息子を忘れて飛行機に乗っちゃうの。
すぐには戻れない家族。
留守の間、豪邸を狙う空き巣と戦う8歳の少年。
このシリーズの2も、1の翌年、また海外でクリスマス過ごす家族とはぐれたこの少年。
去年捕まった空き巣が脱獄してて、この少年は雪に埋もれたニューヨークでまたそれに遭遇。
どっちもすっごい笑えるコメディなんだけど、私は2のほーが好き。
これに出てくるホームレスの鳩おばさん、メリー・ポピンズで鳩にエサあげてるおばさん思い出すよね。
メリー・ポピンズも雪が出てきたよね。
レンタルでおもしろそーだから借りてきたら、これ、ホームアローンの主役の人のだった。
この映画では、マコーレー・カルキンが悪魔のよーな少年役。
このマコーレー少年の家に、親の不在中にいとこが預けられるんだけど、そのいとこはマコーレー少年の邪悪さに気づいちゃって、それで追い詰められていくの。
これも冬の話。
雪というより、氷がはった池のスケート場で、マコーレー少年におとしいれられた子が割れた氷から冷水の池に落ちて、っていうシーンがものすごいこわかった。
スケート場みると、この映画、思いだしちゃう。
ラストはすごい考えさせられるよねー。
私ならどっちのラストを選ぶかなー、って。
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雪のすごさ、っていうなら、これだよねー。
(※思い切りネタバレ書きます)
すごいよー。
すごいー。すごいー。
っていうけど頭脳は高校生じゃーん、っていう小学1年生が、仕掛けられた爆弾で決壊したダムの水が、蘭のいる下流の村を飲み込もーとした時。
その途中の雪山をねー。
小学生がねー。
スノボでねー。
ぐりぐり滑ってねー。
雪崩起こしちゃうのねー。
そしたらねー。
その雪崩がねー。
決壊したダムの大放流水をねー。
せき止めちゃうのー。
すっごいよねー。
それだけじゃなくてねー。
その雪崩にねー。
小学生のコナンがねー。
飲み込まれちゃうのー。
タイヘンだよねー。
雪に埋もれた人って15分以内に助けないとねー。
死んじゃうんだってー。
この話、最初は首都高爆破からはじまって。
すごい事件になってって。
それ、いろいろ解決して。
でも、タイトルの「沈黙の15分」って。
ぜんぜん事件に関係ないの。
事件いらないじゃん。
雪でダムの水とめて、雪に埋もれて15分以内に(ここから先はツタヤでね!)
コナンは名探偵じゃなくてもすごいよ!!
っていう雪のお話ー。
よいこは真似して雪崩起こしちゃダメです、ってテロップだすべきだよね。
まだ雪関連の小説とか映画とかいろいろありそーだけど。
また大雪の日に思いついたら書きます。