《即興小説》曲がり角
お題:憧れの何でも屋
必須要素:大道具さん
制限時間:15分
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自転車があった。
これに乗って、街を走る。
そして、曲がり角にさしかかって、あっちから来た女の子とぶつかる。
「あなたの出会いを演出しましょう」
そんなチラシに惹かれて、ボクはここに来た。
そして一台の自転車を渡された。
サドルにお尻をつける。
ハンドルを握る。
ペダルを踏む。
走りだす。
走る。
走る。
走る。
道はどこまでも続いた。
風が気持ちいい。
ボクはひたすらペダルを踏み続けた。
走る。
走る。
走る。
どんな女の子がやってくるんだろう。
ボクは想像した。
風があたる頬が、少し熱くなる。
ペダルをまた踏み込んだ。
ひたすら足をぐるぐる回す。
走る。
走る。
走る。
道はまだ続いた。
まっすぐに。
両脇のブロック塀は途切れない。
曲がり角はどこだ。
ボクは加速した。
角の向こうでは、ボクの自転車にひかれたい女の子がスタンバイしてるはずだ。
女の子を待たせるなんて、罪じゃないか。
ボクは自転車で必死に走った。
走った。
走った。
走った。
なにかが見えてきた。
人影だ。
角なんてなかったけど、人は立っていた。
やっほーい。
おーい。
ボクだよー。
ボクを待ってるんだろー。
待たせてごめんよー。
ボクはバターになりそーな勢いで走った。
到着した。
人影に。
「ごめんね」
そのセリフは、女の子を待たせたボクの口から出たものではない。
「大道具係がこなくて、曲がり角が作れなかったんだ」
ボクに自転車を渡してくれた小道具係が言った。
「人の夢をかなえる何でも屋をやろう、って憧れてたのにさ。大道具係のやつ、オレが連れてきた曲がり角の女の役の子と駆け落ちしちまった。自分だけ夢かなえやがって」
おしまいʅ(´◔౪◔)ʃ
http://sokkyo-shosetsu.com/novel.php?id=232838
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自転車の絵がヘタすぎー。
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これが即興小説の処女作(^_^)