《即興小説》ある日、大量のエビが
お題:汚い悪魔
必須要素:海老のしっぽ
制限時間:30分
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突然、エビが大量に獲れた。
なぜだかわからない。
だが、海に投げ入れた網には、エビばかり大量にかかった。
海に糸を垂らせば、エビが食いついて釣れた。
指先を海面につけただけで、エビがちゅっと吸いついてくる。
あまりにエビが獲れるので、海辺の町の人たちは毎日エビフライを作った。
毎日毎日、大量のエビフライが作られ、毎日毎日、大量のエビフライが食べられた。
そして、毎日毎日、大量のエビのしっぽが残った。
どの家からも大量のエビのしっぽのゴミが出た。
人々は、毎日毎日大量のエビのしっぽを詰め込んだゴミ袋を、ゴミの日に出した。
ゴミの収集車は、毎日毎日、大量のエビのしっぽを回収した。
車に詰め込んでも詰め込んでも、積みきれないほどのエビのしっぽがゴミにだされた。
ある日、ゴミの収集人はうんざりして、エビのしっぽは回収しなくなった。
困った町の人たちは、毎日毎日大量に出るエビのしっぽのゴミを、海に捨てだした。
町の人たちは、毎日毎日、大量のエビのしっぽを海に捨てるようになった。
毎日毎日、大量に獲れていたエビも、段々と数が減り、ある日ついに、エビがぜんぜん獲れなくなった。
海からエビがいなくなった。
だが、海には大量に捨てられたエビのしっぽが漂っていた。
ぷかぷかと漂うエビのしっぽたちは、やがて繁殖をはじめた。
海のあちこちでエビのしっぽが交尾する。
そして海のあちこちで、エビのしっぽの卵が生まれ、海水に漂った。
エビのしっぽはそのうち孵った。
エビのしっぽの卵から産まれたのは、エビのしっぽだった。
海では、エビのしっぽが大量に泳ぐようになった。
人間が漁をやると、エビのしっぽばかり獲れるようになった。
エビのしっぽは、ほかの魚を餌にしたので、海にはエビのしっぽしかいなくなった。
仕方ないから、町の人たちは、大量に獲れたエビのしっぽで、大量のエビのしっぽフライを作った。
そして毎日毎日、大量のエビのしっぽフライを食べた。
エビのしっぽフライは、食べ残すところがぜんぜんなかった。
だから、ゴミはなにもでなかった。
そのうち、海ではエビのしっぽも獲れなくなった。
町の人たちは、食べるものがなくなった。
だが、町民のひとりが、エビのしっぽをひとつだけ食べ残していた。
それを植木鉢の土にさすと、しっぽからエビの身が土の中で育った。
しっぽを土からひきぬくと、かんぜんなエビの姿になっていた
「これで金儲けができる」
エビを育てた町民は、その日から金の亡者になった。
しっぽから切ったエビの身を、町の人に売った。
そしてしっぽをまた土に植え、身を育てた。
しっぽはひとつしかなかったから、ひとつずつしか売れなかった。
もっと大量にエビを繁殖させたかったが、エビが交尾する相手がいなかった。
金の亡者になった町民は、悪魔と契約した。
自分がエビと交尾して、エビの子孫を増やすことにしたのだ。
そのかわりに、悪魔に自分の魂を売った。
町民はエビと交尾すると、エビは卵を宿した。
そしてそのエビは卵を産み、エビの赤ちゃんがたくさん孵った。
エビの赤ちゃんたちは、餌をほしがった。
だが、海にはもう魚はなにもいなく、植木鉢にエビの餌はなかった。
産まれたエビたちは、自分を育てた町民を餌にして食べた。
町民のカラダはなくなり、魂だけが残った。
その魂は、悪魔が意地汚く食べてしまった。
エビたちはまたおなかがすいて、ほかの町民たちを食べに町に出ていった。
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書きながら、自分でも何書いてるのかわかんなくなってた(^_^)