未解決の文字

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警察を頼ること(2)

 ※(1)の続き。

 

夜中まで起きてた時、なんか食べたくなって近くのコンビニに出かけた。
カシス飲んでたから自転車も飲酒でダメって思って、歩いてった。


買い物した帰り道、歩道歩いてたら前からワゴンが走ってきた。
そのワゴン、最初からライト点けてなかった。
夜なんだからライト点けなよー、って思いながら歩いてたら、そのワゴン、私の真横で停まった。
運転席には若い男がひとりだけ座ってた。


だから、私はその運転してる男のほー、反射的に見た。
そしたら、うしろのスライドのドアがあいて、中から男が出てきて私の腕掴んだ。
中にも何人かいた。


拉致される!
ってすっごい怖くなって、私、コンビニの袋でその男を叩いた。
でも、私を掴んでる手を離してくれなかったから、その手に私は噛みついた。


声なんて出せなかった。
でも、車にひきずりこまれたら終わり、って思った。


すっごい暴れて、なんとか手を振り払って、それで車が入れない道の横の繁みに駆け込んだ。
そのまま道もなにもない繁みの中、すっごい走って、近くの建物の陰に隠れた。


あとから男が追いかけてきた足音聞こえて、見つかったら終わり、って思ってすごい怖かった。


その男はなんか言って、それから車に戻ってった。
でも、その車、ずっと停まったままだった。
だから私も隠れた場所から出なかった。


携帯持ってきてなかったから、警察にも家にも電話できなかった。
すぐ目の前に真っ暗な民家があったけど、助け求めてるあいだに男たちが来たらどーしよー、って思ったし、その家に逆恨みされるかも、って思ったら助けなんて求められなかった。


何分も隠れてたら、車が走ってった。
それからまだ少し隠れてて、それからそっと出て、すごいダッシュで家に帰った。


寝てたお母さん起こして、半泣きで今起こったこと話したら、お母さん、すごい眠かったみたいで、
「こんな夜中に歩いてんじゃないの!」
って怒っただけだった。


次の日、またお母さんに話したら、すごいお説教された。
夜中に夜道歩くほーが頭おかしーって。
それもすごいカッコーだったから、頭がユルい女って思われたんだって。


私も、二度と夜中にコンビニになんて行かない、って思った。
その時は、そー反省しただけ。


でも、そのことがあった日のまた夜7時頃、自転車でバイトから帰ってきたら、夜中にみたワゴンと同じ車が、私を掴まえた場所の近くに停まってるの見た。
そこは車が停車できるとこ。
男たちに拉致られそーになった時、ナンバーも車種もちゃんとは見てなかったから、似てるよーで違うかもー、とは思ったけど、なにもライトつけてないのに中に人がいるから、なんか不気味に感じた。


それでその車の横通らないで、引き返して、ずっと通りまわりして、反対のほーから帰った。


すごいドキドキしたけど、思い違いかもしれないから、その時はだれにも話さなかった。


でも、その次の日、夜の9時頃、お母さんに頼まれて回覧板をまわしに出た時、うちの近くに似てるワゴンが停まってた。
ライト消して、でも中に人がいる気配があって。


回覧板渡しに行く時、その車の前を通る。
前を横切った時、いきなりヘッドライトが点いた。
びっくりして車のほー見たら、運転席に人影が見えた。


それで私は回覧板渡しにいかないで家に帰った。
お母さんに半泣きで話した。
お母さんがすぐに見にいったら、車はそのまま去ってった。


お母さんは、あんなワゴンは沢山あるから、たまたま似てるのじゃない?って言った。
私も、そーかな、って思ったけど、でもヘッドライト点けたタイミングが怖かった。


その次の日、夜勤に出かけよーとして、夜の9時頃、家を自転車で出た。
そしたら、うちの真正面に、あのワゴンがライト消して停まってた。


私の姿が見えたら、またヘッドライトが点いた。
それで運転席に座ってた若い男が窓から顔出して、私に、
「よお♪」
って、フレンドリーに声かけてきた。


私は黙って睨み返してただけ。
そのあいだに、車のメーカーのエンブレムとナンバー覚えたし。


「遊びにいかない?」
って、ナンパみたいなこと言ってきた。


でも、ナンパするよーな場所じゃないし。


私はムシして自転車でその前走って、仕事に行った。
仕事中、なんであの人、声かけてきたのかなー、ってずっと考えてた。


それまでの毎日のことも「おなじ車」って考えると、だんだん私の家に接近してきてる。
それに、「私」をちゃんと判別してる。
私のすぐ前に、ちがう女の人が先に通ってったけど、その時はライト点けなかったから。


ナンバーは違う県のものだった。


仕事帰ってきてから、お母さんに話した。
そしたら、お母さんも、夜中に車でコンビニに買い物行ったら、うちの近くにライトつけてないワゴンが停まってて、なんかヘン、って思ったからナンバー覚えて、それ携帯に打ち込んでおいてた。


そしたら、私に声かけてきた車とおなじナンバーだった。


これはあんた覚えられてるね、ってお母さんが言って、それで次の日、お母さんが警察の生活安全課に相談してくれた。


生活安全課の担当は女の警察官だった。
最初に手を掴まれた時から話したのに、「今のところ、事件性がない」って言われた。
「それは多分、ただの若い男のナンパですよ、お母さん」
って、呆れたよーに言われた。


だから、最初に車から突然降りてきた男に掴まえられたことはなんなのか言ったら、
「それは別の案件ですね」
って言われた。


お母さんが、それならその拉致未遂の案件だけでも調べてください、って言った。
そんなのぜんぜんナンパで済まないから。


でも、警察官は、ここらへんでそーいう拉致事件はぜんぜん起こってない、って言うだけだった。
お母さんは、「じゃあ、娘の件がはじめての事件になったかもしれないから、ちゃんとホンキで考えてください」って言った。


そーいうやりとりを私は聞いてた時、すごいこと、思いだした。
拉致しよーとしてきた時のワゴンのミラーからぶらさがってたもの、思いだした。
それって、私にナンパしてきたワゴンにもぶらさがっていたから。


「ナンパ男、最初は声もかけてこないでいきなり複数で車につれこもーとしてきたんです。その車とおなじです」
って言った。


そしたら、
「それはフツーのナンパじゃありませんねー」
って呑気な口調で言われたから、お母さんがキレちゃった。
「当たり前でしょー。いきなり車から降りてきて腕掴んだんですよ」
って。


でも、
「それもナンパかもしれませんけどね。どこか遊びにいこー、って誘ってきたかもしれませんよ」
って言うから、
「遊びにいこーって誘いたいならそー言えばいーじゃないですか。いきなり腕掴んできたんですよ。車の中に複数いたっていうんですよ」
ってお母さんも頑張った。


それで、毎晩、私の周りにそのワゴンがいるって。
私の姿見ると、ライト点けるし、声もかけてきた、って。


「待ち伏せされてるってとれるんですが」
ってお母さんが言ったら、
「そーかもしれませんね」
って、すっごい呑気な声でその女の警察官は言った。


お母さんは、それで、
「あなたにおなじこと起こったらどーなさいますか?夜中に自分の腕掴んで車につれこもーとした男が、毎晩家の前にいたら、あなたならどーなさいますか」
って、すっごい穏やかに聞いた。


「私なら、心配しますね。怖いですし」
って言ったから、
「私たちもおなじです。怖いんです。おなじこと、あなたに起こった時、あなたならどーするか、その対策を私たちにもしてください」
ってお母さんが言った。


そしたらやっと、
「わかりました。パトロールしましょー」
って言ってくれた。


でも、最後の日に待ち伏せしてたとこは私道だから、警察はそこに入れないって。
私の家の目の前で待ち伏せされたら、公道じゃないから。


だから、私道の中にいるのがわかった場合は職質するのに相手に理由を話さなければならない、って言われた。
私っていう女からこーいう訴えがあったのでそれでパトロールしてる、って相手に話すんだって。


お母さんがびっくりして、
「それじゃ、娘が逆恨みされるかもしれないじゃないですか」
って言ったら、
「でも、あなたの訴えがあったこと話さないと警察はなにも出来ませんから。どこの誰から訴えられたか、相手に言わなくちゃならないんです」
って素っ気なく言われた。


「でも、うちの娘のせいで職質されたってわかれば、相手はうちの娘がどこに住んでるか、もーつきとめてるわけですから、仕返ししてくるかもしれませんよね」
ってお母さんが言ったら、
「仕返しはしちゃいけないこともちゃんと言いますから」
って言った。


そんなバカバカしい話に、私はバカバカしくなった。


「じゃあ、もーいーです。その人に私が拉致られたら、探してください」
って、私は言った。
「まだ拉致されるって決まってませんよ。そーいう目に遭いたくなければ、民間の警備会社に警備頼むといーですよ」
って言われた。


それで、お母さんは、
「うちの娘の情報、相手に話すんであれば、警察に頼れません」
って言って、帰ってきた。


それで、帰ってからお母さんはすぐ、セコムと契約した。
GPSの発信器をレンタルして、私の居場所を24時間モニターすることにした。
防犯ブザーも買ったし。
ひとつ奪われてもいーよーに、いくつもぶらさげた。
セコムで借りたのは、お店で使ってる通報ボタンとおなじボタンがついてて、それを緊急時に押すと、すぐにセコムのほーで私の居場所探して駆けつけてくれるんだって。


私は、ひとりで出歩かなくなった。
仕事はやめれなかったから、自転車やめて車で往復した。
外に出る時は、髪がぜんぶ隠せるキャップかぶって、すごいダサいジャージの上下着て、「若い女」って目立たないよーにした。


お母さんが地元の自治会に相談したら、自治会はすぐ動いてくれた。
自分のところの娘に被害があったら、って言って。


その夜から自警団のパトロールが始まって、すぐ車は特定された。
でも、最初、地元に配るチラシには、
「※※さんの娘さん(私の名前と年齢)が、※日の夜中、不審なワゴン車(車種名も明記)に拉致されそーになりました」
っていう警告文が書かれてた。


お母さんがそれ見て、
「うちの娘って特定できることは書かないでください」
ってお願いして、削除してもらった。


そーいう被害者側の個人情報を出すリスク、って、みんなぜんぜん考えてくれないんだなー、って思った。
ワゴンの男にそれ見られたら、逆恨みされるかもしれないし。
関係ない人には、私がそーいう目にあった、って好奇な目で見られるかもしれないし。


自治会長さんが、
「いやいや、お宅の娘さんのこと、みんなで心配しましょーよ。地域でお宅の娘さんを守りますよ」
って善意で言ってくれた。
でも、お母さんがすごい丁寧に、娘だと特定できることはチラシには書かないで、って頼み続けて、やっとわかってもらった。


そのあと、警察から、
「あれからどーなりました?」
って電話がかかってきた。
私がそれ、とったけど、
「私は拉致されて、もー死体になってますー」
って言いたくなった。


でも、自治会でパトロールしてもらってること話したら、その電話してきた人は男の警察官で、
「そんなおおごとになるぐらいですか。まだその車見ますか」
って聞いてくれた。


ワゴン車は、まだ目撃されてたし、私は家より離れたとこでその車が寄ってきて、また声かけられたりしてた。


自治会も、うちの前でワゴン車が停まってると、みんなでわざとうろついてるだけで、その男にはなにも出来なかった。
刺激してなにかあったら困るって。


たくさん人がうろついてれば、私にはなにも出来ないから、それで安心だったけど。
でも、何日もワゴン車はうちの近くに停まって、私の姿見ると、ライト点けたり、停まってた車動かしたりしてきた。
私が車で出かけた時は、ずっとつけられたこともあった。


なんでこんなことされるのか、わからなかったから、私はすごい怖かった。
ただのナンパなら、まだマシ。
でもこの車、最初はいきなり、私を複数で車に連れこもーとしたから。


その意味が怖かった。


ナンパしたい、って気持ちが最初なら、そんなに私も心配しないし。
でも、最初に通りすがりの私を拉致しよーとして、それに失敗したから、私を探しあてて狙ってきてるのかなー、って思った。
その可能性が怖かった。


その男の警察官に、私は怖いこと、ほんとに話した。
そしたら、パトロールします、って言ってくれたから、
「前にそれ頼んだら、相手に私からの訴えって告げないと職質はできないって言われたから、逆恨み怖れて断ったんです」
って話した。


そしたら、その男の警察官は、逆恨みの怖さをわかってくれた。


だから、その車のナンバーと車種はひかえた上で、公道で不審な停車してるのを見かけたら職質する、って言ってくれた。
私や自治会が公道で見かけたら、その場で地元の警察に電話して、って。
この話はこの所轄で通じるよーにしておくから、すぐ近くのパトカーが駆けつける、って。


その日から、夜は何回もパトカーや警察のバイクがパトロールに来た。


それで、ある日、警察がその男と話したって。
その話の内容は私のほーには教えてもらえなかった。
でも、その日からピタって、待ち伏せはなくなった。


警察から、「もーダイジョーブですかー?」って電話きたから、
「これでもー安心していーんですか」
って聞いたら、
「多分、もーダイジョーブでしょー」
って言ってくれた。


「多分」
ってのがひっかかったけど。


でも、ほんとにその日からはなにもなくなった。


警察はその男の素性も教えてくれない。
職質するのに私のことは話すって言ったのに、あっちのことはなにも教えてくれない。


でも、その男は、私を拉致しよーとした前から私に目をつけてた、ってことだけ話してくれた。


私がその前にも夜中にコンビニに買い物に行った時。
「そのコンビニでトラックに乗ってた男に話しかけられたこと、ありませんか?」
って、ナゾナゾのヒントみたいに言われた。


すっごい思いだして、結構前にそーいえば、トラックの男から、
「よお♪ここらへんの子?遊びにいかない?」
って、すっごいチャラい声かけられたの思い出した。
私は、ナンパ!、って思って、ぜんぜんムシして通り過ぎた。


私の記憶にもちゃんと残らないぐらいだったし。

 

その男なんだって。
それから私のこと、また見かけて、家までつきとめてたんだって。


それで、またナンパしてくるんじゃなくて、複数でいきなり拉致しよーとしてしたから。


トラックの男と会った時から、拉致未遂の夜まで、結構月日がたってる。


私は、それが怖かった。
そのあいだ、ずっと相手には目をつけられてたのー?って。


その男は、ワゴンのナンバーの県が地元だったみたい。
それから、もー、ほんとになにもヘンなことは起こらなくなった。


私も、もーあの怖さは薄れてる。
夜中は自転車じゃなくて車を使うよーになったけど、もー、ダサいジャージじゃなくて、フツーの女のカッコで出かけてるし。


結果的になにも起こらなかったから、私も深く考えてないのかもしれないけど。


でも、ストーカーにこっちの情報は渡たそーとするのに、ストーカーの情報はちゃんと隠そーしてくる警察、って、なにを守りたいのかなー、って思った出来事だった。


男に拉致られそーになった「ぐらい」は、「ナンパ」のうち、っていう軽い考え方されて、それは民事だから警察はなにもできない、みたいな姿勢は、相談にいった人をすごい絶望させる。


でも、警察が職質したからって、それで解決できるとも思わないし。
私もお母さんも、ひたすら、相手の逆恨みが怖かった。


ストーカーに対して、どーしたらいちばんいーのか、そんなこと、警察とか関係なくても、だれもちゃんとわかってないんじゃないかなー、って思う。


異常な考え方する人に、どんな正義で立ち向かえるのか、わかんない。


私の件は、幸い、警察がなにか話したおかげで、相手は私になにもしてこなくなったけど。
そんな聞き分けがいー人ばかりじゃないから。
そんな幸運ばかりじゃないから。


ストーカーに遭うって、その人のせいなんかじゃない、すっごい不運。
でもその不運に、社会がまともな救いの手をさしのべられるのかな。


三鷹の件も、もし警察がもっとうまく動いて、未遂のうちにその男を逮捕できたとして。


だけど、「逮捕」が「めでたし、めでたし」っていうハッピーエンドと限らないよね。
とてもまともじゃない感覚を持ってる人にとっては、逮捕されても改心するわけとも限らないし、どんな罰を受けたとしても、そんなことぜんぜん関係ない、っていう異常な感覚には、この世のどんなものも太刀打ちできない気がする。


だから、ストーカーとか、人の執着とか恨みとか、そーいう、人の強烈な負の脅威がすっごい怖い。