未解決の文字

もひとつブログです

《即興小説》ワレワレハウチュウジンデアル。

お題:あきれた伝承
必須要素:宇宙人
制限時間:30分

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地球人のあきれた伝承のおかげで、自分がちっとも宇宙人だと気づいてもらえない。

一体だれが、宇宙人は足がたくさんあるタコぼーずだと言い出したんだ。
あれはただのタコだ。
地球人が宇宙人だと思っている火星人は、実は宇宙人でもなんでもない。

あれは地球のタコなんだ。
うちの星のやつらが、勤続400年の表彰の副賞で行った銀河一周旅行で地球に寄った時、タコ焼きを食ったんだと。
それがあまりにうまくて、タコ焼き屋のタコをかっさらって星に持ち帰ろうとしたらしい。

だが帰りの宇宙船の中で、おたふくソースも買ってくるのを忘れて、タコ焼きの味は今いちだった。
ソースのないタコ焼きなんて持ち帰っても、星で人気フーズになるとも思わなくてね。
我々の星では、おたふくソースを作る技術はなかったからね。

それで仕方ないから、宇宙旅行の途中で窓からタコを捨ててね。
そのタコが火星に落ちて、やつらは自分たちの足を食い、自分たちの墨を飲みながら、なんとか生き永らえたらしい。

それを地球人が望遠鏡で火星を覗いて発見した、ってことなんだろう。

我々の星は、もともとタコは食わない。
我々の主食は地球でいう鶏でね。
それを油で揚げるんだが、その時にね。
我々の星の海辺の砂をまぶすと、これがいい味になるんでね。

みんな、野生の鶏をつかまえて、自分ちでしめると、その肉を近くの海岸に持ってって海水で濡らしてから浜辺の砂をまぶす。
それから家に帰って、自分たちのでっぷりした腹からしぼりとった脂で揚げて、それを食うのさ。

これは地球人にもウケる味なんじゃないかと思ってね。
それで私が、ちょっくら地球で商売をしようと思いついたのさ。

私は自分の星の砂をたんまりと持って地球に行った。
幸いなことに、地球でも鶏は獲れた。

鶏は地球製でもかまわない。
大事なのは我が星特製の秘伝の砂だからだ。

その砂をまぶして、私の腹をぎゅっと搾った脂であげる。
そのフライドチキンを売った人から、私はいくらかのバックマージンをもらう。

チキンの味は地球人に大ウケした。
それまで地球にはなかった味だから、だ。

それであちこちの地球人が私の星のフライドチキンを売りたがった。
だから私もせっせと秘伝の砂を売って、作り方を教えた。

いや、砂は作れないからね。
これがないと地球人はこのフライドチキンの味が出せない。
だから地球人は、技術をパクることができないってわけだ。

それと、私の腹の脂がいる。
これは私のようにふくよなかな腹であるほど、脂にコクが出る。

私は、だから、我が星のフライドキチンを売る店に必ずいなければならない。
そういうわけで、私は店の数だけ増殖した。
そして各店舗の前に必ず立っている。

砂は使いきってしまえば、また星から持って来なければならない。
私は時々、超光速で星に帰って、砂をまた持ってくる。

時々、それを地球人に見られてしまってるがね。
夜中の街を私が歩いていたとか都市伝説があるとかないとか。

でも地球人はだれも私を宇宙人と思ってくれない。
それが少しつまらない。

わざわざ遠くの星から来てやったというのに、その感謝が足りない。
私はときどき叩かれる。
やめてくれ。
服が汚れるから、そこに鼻くそをなすりつけないでくれ。

大体、地球人は宇宙人をタコ型と思い込んでるのが悪いんだ。

どうしてかというと、だ。

うちの星のやつらが、勤続400年の表彰の副賞で行った銀河一周旅行で地球に寄った時、タコ焼きを食ったんだと。
それがあまりにうまくて、タコ焼き屋のタコをかっさらって星に持ち帰ろうとしたらしい。

だが帰りの宇宙船の中で、おたふくソースも買ってくるのを忘れて、タコ焼きの味は今いちだった。
ソースのないタコ焼きなんて持ち帰っても、星で人気フーズになるとも思わなくてね。
我々の星では、おたふくソースを作る技術はなかったからね。

それで仕方ないから、宇宙旅行の途中で窓からタコを捨ててね。
そのタコが火星に落ちて、やつらは自分たちの足を食い、自分たちの墨を飲みながら、なんとか生き永らえたらしい。

それを地球人が望遠鏡で火星を覗いて発見した、ってことなんだろう。

そいつは宇宙タコじゃなくて、地球タコだというのに。
やれやれ。

我々の星は、もともとタコは食わない。

 

我々の主食は地球でいう鶏でね。

 

 

それを油で揚げるんだが、その時にね。

 

 

 

我々の星の海辺の砂をまぶすと、これがいい味になるん

 

 

 

 

 

 

 

 

http://sokkyo-shosetsu.com/novel.php?id=240141

 

 

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これはこれでちゃんと完結してるのです。

 

 

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必須要素の「宇宙人」で見つけた、ほかの人のおもしろかった作品。

 

「「オッパイがいっぱい」だ!馬鹿野郎!!!」 - 即興小説トレーニング

ぜんぜんお題も必須要素も関係ないよねー(^_^)